つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『最後の恋』つまり、自分史上最高の恋。

 また乃木坂の話から始まってしまいますが、昨日若月佑美ちゃんが卒業を発表されましたね。1期生だし七瀬ちゃんより早いということでショックです、、、

 

 はい、今回は『最後の恋 つまり、自分史上最高の恋』というアンソロジーの感想を述べていきたいと思います。このアンソロジーは他にもMEN'Sバージョンとプレミアムバージョンがあります。

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https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/120123/

 

構成としては、「春太の毎日」(三浦しをん)、「ヒトリシズカ」(谷村志穂) 、「海辺食堂の姉妹」 (阿川佐和子)、「スケジュール」 (沢村凛)「LAST LOVE」(柴田よしき)、「私は鏡」(松尾由美)、「キープ」(乃南アサ)、「おかえりなさい」(角田光代)というふうになっています。

 

 あらすじというか内容は、8人の作家が最後の恋(自分史上最高の恋)について描いているアンソロジーとなっているものです。

 

〈感想〉(※以下ネタバレあり)

 「春太の毎日」(三浦しをん)

 最初の方はただ春太(はるた)という男性と(少し若めの)同棲しているのかと思っていましたが、読んでいくうちにそれが違うことが分かってきて、、、(あえてネタバレしません)

三浦しをんさんの本は最近読んだのですが、この作品は個人的に三浦さんにしては珍しい作品かなと感じました。あんまりぽくなかったです。

 

ヒトリシズカ」(谷村志穂)

 瑞江(みずえ)という女性が主人公の物語で、母からの異常なまでの干渉を受けていたりと母との確執が感じられました。私の読み違いでなければ、瑠木(るき)と瑞江は不倫していたのかと思います。瑠木の奥さんはそれを公認していたように解釈しました。それを最後に気づいたので少しゾッとしました。もし瑠木と瑞江が不倫しているとすると、距離が近いように感じました。でも、遠距離恋愛のように描かれていますが、実は不倫しているからあまり会えないという解釈ができます。私には難しい作品だったかもしれません。

 

「海辺食堂の姉妹」(阿川佐和子)

 阿川佐和子さんの作品は初めて読みましたが、とても読みやすかったです。また、姉妹が主人公ということで、話を理解しやすかったです。

姉が外交的で妹が内向的で正反対というのも、グリム童話とかでもありそうな設定だと思いました。また、結末が予想外だったところが人の心配ばかりするのも悪いことではありませんが、自分のことを見つめ直すのも重要なことなのだと思いました。最終的に姉妹の恋の行方がどうなったのか気になりました。

 

「スケジュール」(沢村凛)

 スケジュールがテーマというよりは「人生のスケジュール」がテーマの作品だったと思います。私は人生計画を立てたとしてもその通りにいくとは思っていないのであまり人生においてはフワッとした計画的なものしか立てていません。この作品もまさにそのことを伝えているような気がしました。天音 妙(あまねたえ)はスケジュール(人生のスケジュールも)をきっかり立てる人ではありましたが、恋に関しては特に思い通りにいかないのだなと思いました。ある意味天音妙は思い通りにいっていますが。人生何があるかわからないのだな、と改めて実感しました。

 

「LAST LOVE」(柴田よしき)

 結婚と恋は違うと思います。私は結婚をする時は恋人の延長線のように結婚したいと思っていません。あまり長く続かないだろうなと思うからです。ならざるを得ないかもしれませんが。結婚をする前の恋を「最後の恋」としている作品でしたが、結婚をする前だから、情熱的な恋をしたいのか安定した恋をしたいのかなどと色々な考えがあると思います。私はまだ大学3年なので、少し遠い話かと思いましたが「最後の恋」がどんなものになるのか楽しみになりました。

 

「私は鏡」(松尾由美)

 私が普通に話を読み進めていった時、あれ、田村いずみはレズビアンなのかと思ってしまいました。結構匿名の小説を書いた犯人が誰かは分かりやすかったと思います。

 鏡と自分を重ねていて、また、小説の中に小説があることが斬新なイメージで面白かったです。同時にとても切ないお話で比呂が泣いた理由は分かりませんでしたが、いずみには幸せになって欲しいと思いました。

 

「キープ」(乃南アサ)

 まず、冒頭から誰と主人公が話しているか分からないので色々と想像力をかき立てられました。

主人公がなぜ15歳の時から「自分から人を好きにならない」と決意したのかは、文脈からすると片想いで一人相撲しているようだったのが疲れてしまったからだと思いました。

結婚してもうまくいかず別れてしまったようでしたが、部下によって心を開かれて良かったと思いました。

 

「おかえりなさい」(角田光代)

 なんだか不思議なお話でした。きみと主人公のぼくの正体がはっきりしないこと、老婆がぼくを誰と勘違いしていたのかもよく分からないところなどからそう思いました。物語の最後できみとぼくは離婚してしまうわけですが、老婆と過ごした時間のようなものを創り出したかったということでした。この話をしたのは怪しい宗教を信じていた草加部のこともふまえ、結婚や恋は信じられるものであるべきだとぼくは伝えたかったんだろうなと思いました。

 

 「最後の恋」が史上最高の恋であるかどうか、それがどのようなものであるかは分かりませんが、恋愛はかなり奥が深いものだと思いました。是非読んでみて下さい。