『私と踊って』恩田陸 長い短編
私の後輩がブログをやっているのですが、ゲストライターを募集したりしていてちょっと面白そうだなと思います。
今回読んだのは恩田陸さんの『私と踊って』
です。表紙の写真が綺麗で、また、恩田陸さんの『ネバーランド』が面白かったので買ってみました。19篇の短編集となっています。
https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/123423/
〈感想〉(※ネタバレ含む)
「心変わり」
最初は何てことないどこかの会社の話かと思っていましたが、自分の上司がもしかしたらスナイパーかもしれないという話でした。かもしれないというか、割と確信に近いのですが。かなりの切れ者で、数ヶ月前に急に会社に来たというのが怪しいところです。その真実に気づいてしまった城山には無事でいてほしいものです。
「骰子の七の目」
この話は少しゾッとする話でした。まず最初に会議で見知らぬ女が紛れ込んでいる時点でちょっと怖い。また、「腕時計か柱時計か」なんて会議でわざわざ話すことではない気がしました。私にはそもそもガムランというものが分からなかったのだがそれが分かると更に気味の悪い話だと思うのでしょうか。また、思想が二者択一か両方どちらでもいいとありましたが、私はその思想のどちらでもいいと思うのですが二者択一の方に考えを引っ張ろうとするのが良くないことだったのでしょうか。プロパガンダ法の意味も曖昧なのですが、逮捕するほどのことではなかったと思います。いかにも怪しい女が結局味方のようなものだったこともゾッとしました。
「忠告」
ひらがな文の手紙なので、読みにくかったです笑 ところどころ何て書いてあるのか分からない所がありました。この作品の情報量が少な過ぎて周りに子供が住んでるのかなども分からなかったので、なんとも言えませんがご主人様が殺されないと良いですね…
「弁明」
よく分からなくて、色々と想像できる話でした。この女性は自分の弁明をするために舞台で話していたのか、それともこういった演目なのか。しかし、景色が見えるような感じに主人公には見えていたのは彼女の演技力だったと思います。結局彼女がどうなったのかしりたいです。
「少女界曼荼羅」
すごく不思議な話でした。近未来の話かなととも思いました。少女が見たのは結局何だったのでしょうか。恐ろしい姿と書いてあったので無事だといいのですが…。
「協力」
「忠告」の続きでした。「忠告」の主人、助かったみたいで良かったです。でも、すごく意外な結末でした。動物も侮れないのだなと思いました。
「思い違い」
一度読んだだけでは私にとって理解しにくい作品でした。発煙筒の男は捜査陣がわざとやったのかと思ったのですが、違いました。最後のセリフが印象的でした。
「台北小夜曲(タイペイセレナーデ)」
綺麗なお話でした。カラスが人間の姿になっていたり不思議な点も多く、幻想的でした。思い出の中のYと主人公は会えたようで良かったです。
「理由」
話が支離滅裂でした。猫が人間の耳に入ってしまうことなど本来信じられないことです。また、最後パパとママはだから結婚したと言っていて話の流れが急すぎると思いました笑
「火星の運河」
「台北小夜曲」の続きでした。私は暁由(シャオヨウ)が死んでしまったのかと思いました。Yは結局主人公だったのでしょうか。謎が多い作品でした。暁由は主人公より年上でしたがだったらそんな年上になっているのか不思議でした。
「死者の季節」
4月って自殺者が多いイメージがあります。人身事故が多いからでしょうか。
4月は「死」という字もついているので余計に縁起が悪い感じがします。
私が思う死者にふさわしい季節(ふさわしいも何もという感じですが)は冬あたりですかね。イメージ的にも死者が多そうなので。
「劇場を出て」
短い話でしたが、その分切ないお話でした。きっとこの少女はTのことが好きなんでしょう。劇のセリフとかってたまに言いたくなりますよね笑
「二人でお茶を」
私はまずそこまで音楽の知識がないのでタイトルの曲が分かりませんでした。
あと、「L」のことも分かりませんでした。もしかしてリストですかね?実在するかも分かりません。今度調べてみたいと思います。
「聖なる氾濫」
この作品で老婦人が「なにか見えましたか」と聞いているのは一体何の事だったのかよく分かりませんでした。写真に入り込んでいる描写があったり臨場感のある話だったと思います。ピラミッドの謎は奥が深いですね。
「海の泡より生まれて」
情景が浮かんできやすいお話でした。図書館の前に咲いているヒナゲシだなんてとても素敵ですね。
「茜さす」
京都にまた行きたくなりました。確かに京都駅はSF映画に出てくるような古都とは思えないところですよね。声は一体なんだったのでしょうか。
「私と踊って」
はじめ出てきた少女は幽霊かと思いました。ダンサーの彼女が無くなってしまったのはショックでした。また、彼女との思い出の場所も壊されてしまって悲しかったです。
この後に、「東京の日記」と「交信」というものが続くのですが、「東京の日記」は割愛しますね。
「交信」はざっくり言うと、漢字とひらがなで書かれた/で区切られた文の後にカタカナでまた文章が続いているものです。説明が難しいのもそうですが、ストーリーもないといえばないです。装丁が工夫されているのでぜひ本編を読んでほしいです。
今回の作品はハードカバーで買うとこれより更に素敵な装丁のものだと思います。見てはいないのですが、ハードカバーにすると色々と装丁の工夫ができそうです。
ぜひ読んでみてください!