つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『猫色ケミストリー』喜多喜久 入れ替わり

 今回読んだのは喜多喜久の『猫色ケミストリー』でした。すごく読みやすい作品でした。

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https://ddnavi.com/book/4796688609/

 

〈あらすじ〉

 計算科学専攻の大学院生、明斗と女子院生、スバル、そして大学構内に棲みつく猫がある日落雷によって入れ替わってしまった。明斗とスバルが入れ替わり、スバルの魂は猫の中に。猫の魂は明斗に入るが、落雷により明斗は昏睡状態。元に戻ろうと1人と1匹が試行錯誤する中で、猫の餌から違法薬物の合成に気づく。餌に薬物を混入した犯人の目的とは…?

 

 

〈感想〉(※ネタバレ含む)

  誰かと誰か(何か)が入れ替わる系の小説は初めて読んだと思います。入れ替わると言えば、『君の名は。』がかなり流行りましたね。作中にも入れ替わる作品の例として『転校生』など出ていました。機会があれば読みたいと思います。

 入れ替わる系の作品は何となく『君の名は。』の影響で男女だと恋に落ちてしまうイメージがあります。この作品も何だかそう言った雰囲気を感じさせられるものでした。

 

あと、作品中の描写でどこの大学がモデルかわかりました。あとからちゃんと見たら、作者がその大学出身でした。

 

 初めあらすじを読んだ時、猫と人間と人間が入れ替わるなんて異色過ぎる!と思ってしまいましたが、発想はすごいと思いました。

猫と人間が入れ替わったらどうなるのかと思いましたが都合よく(笑)昏睡状態になっていてそこはちょっと無理がある気がしました。作者の喜多喜久さんは小説家ではなく化学者なので無理もない気がしますが。

 

 私は種明かしまで実験を成功させなくしている犯人とキャットフードに異物を混入している犯人とは同じだと思っていましたが、違いました。でもよく考えてみると動機の関連性がないのでそれはそうだと思いました。ただ、急に水葉さんが和泉の実験を手伝いたいと言い出すのはあまりにも不自然で怪しかったので、犯人は分かりやすかったです。

 あと、結局スバルと明斗は付き合うと思うのですが、もし付き合わなかったら水葉さんに誤解が解けるのかなとちょっと気になりました。

 

 

 ストーリーではなく本自体の装丁のことですが、章の始めの部分の想定が素敵でした。

是非読んでみて下さい。