『境遇』 湊かなえ 肉親の存在
またまた台風が週末に来ますね。今日も雨ですが、傘を忘れてきてしまいました笑
今回は湊かなえさんの『境遇』の感想を述べたいと思います。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-23745-0/smp.html?c=&o=date
ドラマにもなっていたようです。時間がある時に見たいと思います。
https://www.asahi.co.jp/smp/kyogu/
〈あらすじ〉
共に児童養護施設で育てられたという経験を持つ晴美と陽子。晴美は新聞記者で、陽子は県議会議員の妻で専業主婦だ。
陽子は晴美の宝物である青色のリボンの話を元に、絵本を作った。それを彼女の姑が絵本大賞に応募したところ、新人賞を受賞し「あおぞらリボン」はベストセラーとなった。
そんな中、スイミングスクールに迎えに行くはずだった息子の裕太がいなくなってしまう。裕太がいなくなり、陽子の元に脅迫状が送られてきた。とある秘密を公表しなければ息子を返さない、と。秘密とは何なのか、裕太を誘拐した犯人は誰なのだろうか。
〈感想〉(以下ネタバレ含む)
陽子も晴美も同じ様に施設に預けられ(捨てられ)たという境遇を持っていて、私は血の繋がった両親の元で育てられてきたのでまずはその恵まれた環境で育ったことに感謝しなければと思いました。
陽子は養子として引き取られて育ちました。しかし晴美は施設で暮らした後、奨学金を貰いながら大学に通いました。私の勝手なイメージですが、あまり養子にならずに施設で育つ人はいないと思っていました。晴美は親友でありながらどこか陽子に嫉妬していたのかもしれませんね。
この小説のあまり良くないなというか、どうなのかと思うところがいくつかあったのですが、まず1つ目は裕太を誘拐した犯人がわかりやすいということです。私はあまり推理小説を読まないのですが、それでも犯人が分かってしまいました。
2つ目は仕方の無いことですが、登場人物を説明するようなセリフが多いということです。説明しないとよく分からないのはそうですが、陽子や晴美の周りの人は彼女が説明するまでもないことだと思ったからです。
3つ目は下田(橋本)弥生が晴美と陽子のどちらが自分の娘か分からなかったということです。実の娘のことですから、その自分が預けた児童養護施設に電話なり訪問なりしてその娘が今どうしているかは聞けると思うからです。まぁそもそも児童養護施設の人がそこまで把握出来ているかは微妙ですが。
晴美が犯人であったのに、晴美を警察に届けなくて良かったのかと思います。裕太に危害は加えなかったとしても、誘拐や脅迫したことはよく分かりませんが犯罪になると思います。また、晴美が最後どこにもいなくなっていたのは少し悲しかったです。
終盤あたりで青という字がよく使われている(選挙のアピールだと思いますが)ところが印象的でした。また、弥生の娘が実は晴美であったことは予想外でした。
私自身、実は湊かなえさんの作品はあまり好きではありません。また、サスペンスやミステリーは人間関係が複雑で相関図がよく分からなくなってしまうのですが、それでも一日で読めてしまうほど面白くて引き込まれる作品でした。
ぜひ読んでみて下さい!