つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『明日のマーチ』石田衣良 偏見

 最近は毎日本を読むようにしているので、読むのが早くなった気がします。あと、伏線もきちんと回収できるようになったと思います、嬉しいです笑

 

 今回読んだ本は石田衣良の『明日のマーチ』です。


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https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/125058/

結構長かったのですが、一日で読めました。

 

〈あらすじ〉

 山形の工場で派遣社員として働いていた春原陽介(はるはらようすけ)、黒瀬伸也、林豊泉(りんほうせん)、三津野修吾(みつのしゅうご)。

世界金融危機の影響で、契約解除されてしまった4人は東京に歩いて帰るという修吾に便乗することにする。

ブログをやっている伸也がこのことを「明日のマーチ」と名付け記事にすると、若者の失業していく悲惨な状況を訴えるため歩く若者たちとして取り上げられ、有名になっていく。ネットでも拡散され、政府までもが注目する。

石田衣良初の傑作ロードノベル。

 

〈感想〉(ネタバレ含む)

 読んでいる側も長距離を歩いてみたくなるような、そんな作品だった。

主な登場人物の4人もキャラが立っていてとても良かった。映画とかドラマにしたら人気が出そうな作品だと思う。

 

 この作品の良い点はマイノリティーに目を向けている部分だ。中国残留孤児の林豊泉はその境遇からいじめられていた過去があった。更に「おかま」と呼ばれているところを見ると、LGBT的な要素にもこの作品は触れているのではないかと思った。もっとも、恋愛対象は女性であるようだったが、見た目は中性的というだけではあるが。

また、三津野修吾に関して犯罪を犯したからといっても刑期を終え、きちんと償えば許される(社会に出ていける)ことを訴えている。

 

正直、犯罪に巻き込まれたこともなければ周りにそういった経験をした人がいる訳でもないので何とも言えないが、私が被害者遺族であったらきっと許せないと思う。この作品では最終的に被害者遺族には許されている。

犯人を殺したくなることもあるかもしれない。それ故に芳本の次男が修吾を殺そうとした訳だ。そこで、修吾が彼に対し「ありがとう」と言ったシーンはとても印象的だった。

 

修吾は犯罪ましてや殺人を犯した訳だから絶対に許されることではない。しかしこの作品は関川さんをはじめ「明日のマーチ」を犯罪者がいると知っても応援してくれるということがとても感動的だった。

もっと今の日本も元犯罪者でも受け入れてくれる世の中が必要かもしれないと思った。

 

 この作品は伏線として修吾が異常なまでにメディアを嫌がるところと、歩いて東京まで野宿しながら帰るというところ(つまりは逃げているかもしれない)で修吾が元犯罪者(あるいは現犯罪者)であるかもしれないと私は気づいてしまった。そこがまた面白さではあるのかもしれないが結構あっさり分かってしまうのがもったいないと思った。

 

 

 久々にである調にしてみました。こっちの方が書きやすいし、誤字も少ないかもです。昨日今までのブログを見直していたら誤字を結構見つけてしまったので気をつけたいと思います。

『明日のマーチ』、是非読んでみて下さい!