つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『万引き家族』 赤の他人なのに

 結構ダラダラして映画2本観たらこんな時間になってしまいました。いよいよ台風が来ますね。

今回はカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した「万引き家族」の感想を述べていきたいと思います。


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http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/

 

〈ストーリー〉

高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、柴田治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んだ。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金。足りない生活品は、万引きで賄っていた。そんな家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねた治が家に連れ帰ってくる。体中傷だらけの彼女を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密が次々と明らかになっていく──。

 

〈感想〉(以下ネタバレあり)

 この作品は是枝裕和監督の映画で、この監督は他に「誰も知らない」などを撮っていますね。

「誰も知らない」もそうでしたが終わり方がはっきりしないなぁと思ったのが第一印象です。

是枝監督は子役にはアドリブで喋ってもらうそうですね。「誰も知らない」を観ていただくとわかるのですが主演の柳楽優弥含め子役は自然な演技でした。(ある意味グダグダしてしまっているようにも見えるのですが笑)あの撮影中柳楽優弥さんが声変わりしたという話を聞いて違和感がなかったのでびっくりしました。

 また、祥太くん役の城桧吏くんはどことなく柳楽優弥さんに雰囲気が似ている気がしたのですが、個人的にこの映画では彼の演技が一番好きでした。顔もタイプです笑

祥太が劇中で「スイミー」を朗読しているシーンがありましたが、何か意味があるのかなと思いました。「スイミー」はスイミーという魚を団結して自分の仲間を殺したマグロをやっつける話です。小学校2年生の教科書に載っているものなのでそれより年上の祥太がその話を読んでいることはよりこの家族の貧しさを強調させていると思いました。

 

 初枝役の樹木希林さん。先日亡くなられた後にNHKでドキュメンタリーをやっていて、その中でもこの映画の撮影の様子が取り上げられていました。

不謹慎かもしれませんが、亡くなったのを知った際に万引き家族のことを思い出しました。いくら初枝の年金を目当てに他の家族が暮らしていたとしても、亜紀ちゃんは特にすごく悲しんでいて家族の絆を感じました。

 

 松岡茉優さんは、私の特に好きな女優さんの一人でもあるのですがやはり流石の演技力でした。亜紀ちゃんは本当の家族には疎まれている(?)感じでどこか信代にも通じるものがありました。また、JK見学店の源氏名に実の妹の名前を使っていたので、亜紀ちゃんは妹になりたかったのかもしれませんね。

あと、海で水着を着ているシーンで意外と(失礼)スタイル良いんだな〜と思いました笑

 

 信代は過去虐待されていたみたいですが私はそこの部分を上手く読み取れていませんでした。憑依型の女優さんだなと改めて思ったのですが、こんな役を演じたら病みそうだなぁと思いました。

 

 治は何だか働く決心をしても上手くいっていませんでしたし、怪我をした時もそれを理由に家の仕事などを怠けている印象を受けました。でも、祥太に自分の本名を付けていたことは本当の息子のように思っていたのだと実感し、ラストがとても切なかったです。

 

 ゆりちゃんは結局誘拐をされた訳ですから元の家に戻っていましたが、柴田家にいたことは逆に優しくされていたことなどを思い出して辛くなるんじゃないかと思いました。「りん」と偽名で呼ばれれていたこともゆりちゃん的にも情が入ってしまいそうです。なんかこの映画の中では一番可哀想な役かもしれないと思いました。

 

 この映画で信代と治が飲んでいた缶のお酒やタバコを吸っている所は低所得者の象徴にも見えました。

 祥太がわざと万引き犯として捕まったことはこの家族にとっては良いことだったのでしょうか。祥太もどこかで未練があるかもしれません。誰かがこの関係を壊さないとこの「偽装家族」は終わらなかった訳ですが…

でも、様々な場面からこの家族の絆を感じました。一人一人ワケありだという感じでしたがそれだから余計に深い絆があったのだと思います。赤の他人でもこんな関係になれるのだなぁと関心しました。

 

カンヌで評価された作品でもあるので、観るべきだと思います。ぜひ観てみてください!