『サイレントリー』鈴木光司 生と死への前向きな向き合い方
今回読んだのは鈴木光司の『サイレントリー』でした。
http://www.neowing.co.jp/product/NEOBK-291501
〈内容〉
人生を考えさせられる、静かな7つの物語。生と死に向き合う作品となっている。
〈感想〉(※ネタバレ含む)
「目覚めれば目の前は海」
おっちょこちょいなのか、注意力散漫なのかわかりませんがよく階段から転げ落ちる尚美と運命ともいえる(?)出会い方をした三喜男。
その出会いは不穏なものだった気がしますが、それが契機で2人は付き合うことになりました。
よく分かりませんが、現実でもこのような出会い方をして付き合うようになるのか不思議でした。しかし、初めて一緒に崖から転げ落ちた時にその時偶然落ちてきた赤ワインを飲んだというエピソードはすごく素敵でした。しかもそこでプロポーズするなんて、少し憧れかもしれません。
「大山」
大学時代に旅行に行く際、電車で向かい側に座ったいわゆるショッピング・バッグ・レディと呼ばれる女性にまるで予言のように言われた一言のとおり、人生が堕落していってしまった染谷でした。
景気や大金に目がくらむとやはり人はダメになってしまうんだと思います。うまい話もあまり鵜呑みにしてはいけないと思わされるお話でした。
染谷のせいであまり豊かではない暮らしになってしまったのにその妻と娘は待つということができていて、すごいなと思いました。結果はどうなるか分かりませんが。
「結婚指輪」
離婚しそうな夫婦のお話だったので読んでいて何だかハラハラしてしまいました。
自分が撮った記憶のない不可解な写真がまさか、思いもよらない結末を向かえていて意外で面白かったです。
「枝の折れた小さな樹」
自分の10歳で死んでしまった妹を映像技術でそのまま生きて結婚することを仮定し、生き返らせた兄。悲しみに打ちひしがれた家族を立ち直らせていて胸を打たれました。
「人生相談」
自分が不倫している男性の妻が自分のサイン会にやってくるなんてもう、ホラーですよね笑
赤ちゃんを産んでもどう育てるのか、1人で養っていくのか気になりました。
「一輪車」
不登校の自分を外に連れ出し、学校に行って欲しいという願いから歩美の本気とは思えない「一輪車に乗ることができたら」という願いを聞き入れようとした父親の姿は感動しました。
一輪車の意思が歩美の子どもにも伝わるといいなと思いました。
「サイレントリー」
お互いに亡くした人を持つ彼らがある一点のことでお互いにその亡くした人を思い出しているのは不思議でしたが、素敵なことだと思いました。
最後の方感想が雑になってすみません!また鈴木光司さんの他の本も読んでみようと思います。
是非読んでみて下さい。