つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『わたしが・棄てた・女』 遠藤周作

 今日は割と暖かい日だと思いました。トレンチコートを着て学校に行ってしまったので割と暑くて後悔しました。昨日は雨で、今日はこんな天気だったので天気が変わりやすいなとびっくりしています。

 

今回読んだのは遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』です。遠藤周作の作品は何冊か読んだことがあったので読んでみようと思いました。

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かなり昔に映画化されたそうです。

 

公式のページがなかったので乃木坂文庫のURLを載せます。

http://kodanshabunko.com/nogizaka-bunko/index.html

 

 

 

〈あらすじ〉

 吉岡努との2度目のデートで彼に初めてを捧げた森田ミツ。しかしそれ以降彼から連絡が来ることは無かった。吉岡が他の女性と交際し、結婚すると思われた時ミツの体には癌の症状が出た。それでも吉岡を愛し続けたミツの短い生涯を描いた作品。

 

〈感想〉(※ネタバレ含む)

 大学生~30代くらいの男性であれば1度寝ただけの女の子というのは誰にでもいるのでしょうか。若いうちは若気の至りということで、そういった出来事も珍しくはないのかもしれません。しかし、吉岡はそれをあまり悪い事だと思っていないのが鼻につきました。しかも、吉岡と出会ってからミツがより不幸になっている気がしたのでそれも加え、ミツに同情しました。

 

 上記にも書きましたが、遠藤周作の作品は以前読んだことがあります。遠藤周作は『沈黙』や『深い河』などはあまり面白くないというか、テーマが重く、難しくて苦手でした。今回読んだこの作品は『女の一生』に少し似ている気がしました。『女の一生』はすごく面白かったのでオススメです。『女の一生』とこの作品に共通することですが、遠藤周作は女性語りが上手いと思いました。

また、ミツの無償の愛とも言っても過言ではない献身的な吉岡への思いは『沈黙』や『深い河』のキリスト教的要素を感じました。ハンセン病ハンセン病の施設でシスターが働いているところもその要素を感じました。

 

 ミツと吉岡、両方の立場から物語を読むことができ、この作品をより面白くするための効果にもなっていたと思います。

 

 ミツは吉岡のことがずっと好きでありながらも自分で吉岡の居場所をつきとめることなどをしていなかったので何というか、偉いと思いました笑

病気を発症してしまったかもしれなかったので、逆に吉岡に会いたくなかったのかもしれませんね。しかし、吉岡とデートの最中にお爺さんからもらった十字架を目印にと、友達に預けていたところはミツの控えめでありながらも一途な部分を感じられました。愛おしかったです。どこか期待もあったのだと思います。

 

 ミツのあっけない最期は虚しく、儚いものでした。読んでいて悲しかったです。最期に発した言葉が「吉岡さん、さいなら」だったのが切なかったです。しかし、なぜここまで吉岡を愛したのかが気になりました。女にとって大事なものを捧げた人は特別なものなのでしょうか。吉岡の方も何だかんだミツを気にしていたので「昔家で飼っていて死んでしまったペット」が恋しくなる感じで気になっていたのだと思います。残念ながらあまり恋愛感情はなかったのかなと思います。

 

 

 シリアスでありながらも少し笑える要素もあり、楽しめる作品でした。

是非読んでみて下さい。