つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『舞台』 西加奈子 かっこ悪くかっこ悪い

 今日も肌寒かったですね。お昼くらいに少し陽が出た気がしましたが、雨はまだ降りそうな雰囲気がします。少し厚手のコートを着ているのですが適しているのかは微妙ですね笑

 

今回読んだのは西加奈子の『舞台』でした。


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http://book-sp.kodansha.co.jp/#Profile

 

〈あらすじ〉

 葉太は、ニューヨークに旅行に訪れるが滞在してすぐにリュックごと盗まれてしまう。無一文となった葉太は領事館にも行かず極言状態のまま、ニューヨークの街で自分と向き合っていく。

 

 

 〈感想〉(※ネタバレ含む)

 はじめ、読んでいた時に字体の変わっている部分が「地球の歩き方」の文面を引用して書いているということに読み終わるくらいに気づきました。後書きも結構面白かったので、良かったらあとがきというか対談も是非読んでみて下さい。

 

 ニューヨークに旅行に行き、わずかな時間で荷物を盗まれてしまうというかなり衝撃的なことから始まります。あらすじを読んだ時はそういう感じの話なんだという印象しかありませんでした。タイトルから、『舞台』だからやっぱり演劇の話も関係してくるのかと感じたり…

 

 しかしそんな単純な内容ではなく、小説としては結構重かった気がします。正直苦手ではありました。元々読んで暗い気持ちになるような本は読まないようにしている性分なので笑

 

 『人間失格』の話が出てきましたが、この小説はすごくそれをベースにしているのだと感じました。多くのフィクションは「完璧で何でもできる人」よりかは「不器用だけど良い奴」、「ひたすらクズ」の主人公が多いかなと自分としては感じています。

 

 この話では「完璧で何でもできる人」に近い葉太という男が主人公でした。『人間失格』の葉蔵も同じような人物で葉太自身もシンパシーを感じていました。自分も「道化」を装うことで保身し、『人間失格』に出てくる竹一のような人間に気をつけていました。しかし、それを見破ったのは父でした。竹一は友達なので仲良くなることで葉蔵はその場をしのいでいたと思いますが、肉親にバレてしまった場合はどうしようもないですね。

 

 この小説では普段あまり焦点の当たらないようなある程度容姿も良い一見困っていないような人間の苦悩を語っています。私も道化という点では中学高校の時がそんな感じだったので共感する点がありました。葉太がニューヨークに滞在している間自分と向き合っていましたがニューヨークの訪れる場所はまるで葉太自身の苦悩を表しているようで納得しました。

 

 

 『人間失格』をもう1回読んでみたくなりました。ブログにも書こうかと思います。久しぶりに本の感想書いたら結構長くなってしまいました。

 是非読んでみて下さい。