『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹 もつれ
何だか今日は急に寒いですね。上着を着てはいますが、七分袖なので後悔しています笑
因みに、私は寒い季節の方が好きです。いくらでも着込めるので… 夏は限界がありますからね。
今回ご紹介するのは村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』です。長編ですが、そうは思えないほど早く読めた気がします。また、私は村上春樹の作品が苦手なのですがこちらは読みやすく、良い作品だと思いました。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167905033
〈あらすじ〉
名古屋の公立高校でアカ、アオ、クロ、シロと愛称で呼び合い仲良くしていたつくるたち。
しかし、ある日を境につくるはそのグループから弾かれてしまう。その理由もわからないまま、死にたいと思うほどに心を病んでしまうつくる。大学2年生からはその事ばかりを考え、大学卒業後は鉄道会社に就職。木本沙羅という女性と交際し始める。沙羅はその4人ともう一度会うことを勧める。
4人に会うことで、つくるは思いがけない事実を知ることになる。
〈感想〉(※ネタバレ含む)
村上春樹のイメージは独特の文章表現などですが、この小説にもちらほらそれが伺えました。推理小説などを書くイメージはなかったのですが、この小説はある意味推理小説とも言えるかもしれません。
「多崎つくる(戸籍上では多崎作)」という人物は仲良くしていたグループの中で名前の中に色を表す漢字が入っていません。だから、タイトルにも「色彩を持たない」とあります。
後に出会う灰田、その父の友人の緑川にも色を表す漢字が入っています。
木本沙羅にはないので、何か通じるところがあって交際しているのかもしれませんね。
つくるは、自分に突出した才能が無くグループ内で自分の名前だけ色が無いことをコンプレックスに思っていたので、意識的に色の漢字がついた女性と付き合うことはしなかったのかもしれません。
つくるが見る奇妙な夢の中でクロ、シロ、灰田が出てきます。黒と白を混ぜると灰色になるのでその発想からこのメンバー(?)が出てくるのかもしれません。それだけではないのかもしれませんが、謎は多いです。また、なぜ性行為をしている夢を見るのかが不思議ですよね。また、あたかも灰田とホモセクシュアルな関係であることを表すような描写も登場します。しかもそれは実際にあったかのように描かれています。
実際にあったことを夢に見たり、予知夢を見ることが人間にはあります。私も経験したことがあります。私はシロをつくるがレイプしたことがシロの嘘でなければ、つくるはその過ちを犯してしまったのではないかと思います。しかし、何となくシロは嘘をついている様な気がします。レイプされたとしても犯人は全く別の誰かで、グループの人間ではない気がします。
灰田と仲良くなったつくるの場面で、色々な音楽が出てきますがそこまでクラシックは聞かないので分からなかったです。タイトルにもなっている『巡礼の年』も知りませんでした。
沙羅が「フォースと共にあらんことを」と言いますが、これは独特過ぎてどういう意味なのか疑問に思いました。励ましているつもりだったのでしょうか笑
この本は去年授業で扱ったのですが、論文なども少なくいわゆる犯人は分かりませんでした。もっと調べてみたいと思います。
ぜひ読んでみて下さい!