つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『春のオルガン』 湯本香樹実 複雑な家族

 今回読んだのは湯本香樹実の『春のオルガン』でした。なるべく違う作家さんの本を読もうとしているのですが、前に湯本さんの本で記事を書いていました笑
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https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/131513/

 

〈あらすじ〉

 小学校を卒業したばかりの春休み、トモミの家は複雑な状況にあった。トモミは中学受験で受けた中学を落ち、くすぶっていた。弟のテツと共に行動する毎日。おばさんとの出会いや、隣に住んでいるおじいさん、色々な人との関わりによってトモミも、その家族も変わっていく。少女に読んで欲しい一冊。

 

〈感想〉(※ネタバレ含む)

 最後まで読んで、この本の最初のシーンのトモミの夢は伏線だったのだと思いました。中学受験に失敗して少しくすぶっているトモミは何故そんな夢を見たのでしょう、伏線の意味もあると思いますが追い詰められたり、不安なことがあるとやはり悪夢的なものを見るのだと思います。

 

 テツは小3にしては少し幼い気がしましたが、無邪気で男の子特有のバカさ(失礼)もあり、図鑑などをたくさん読んでいて知識が豊富だと思いました。姉弟で年は離れているからなのか、すごく仲が良く、私も兄がいるのですがその仲の良さはとても羨ましかったです。

 

 おばさんの存在はお父さんが別居している状態のような2人にとっては大事な存在となったのだと思います。おばさんは謎が多く、結局家族がいるのか、写真にいた男の子は彼女の息子なのかもよく分かりませんでした。寝言で誰かの名前を呼んでいることもあったそうですがそれは写真の男の子のことなのではないかと思いました。

 

 隣に住んでいるおじいさんがテツを問いただし、トモミが悲鳴をあげた後おじいさんが急に倒れてしまったのは本当にびっくりしました。怒ると血圧が上がると思うのでそれで倒れてしまったのでしょうか… このおじいさんの無事も分からずじまいでした。

 

 テツもトモミも、この春休みで色々と学んだことがあったのだと思います。2人の成長も感じられ、家族がまるくなったのも2人のおかげなのかと思います。

 

 

 面白くて好きな本ではありましたが、ある意味謎の多い作品でした。考察するのが楽しいと思います。

是非読んでみて下さい。