つなの意見。

書評や映画やドラマの感想、乃木坂についてを綴ります

『パンとスープとネコ日和』 群ようこ 大切な存在

 今日はとっても寒かったですね!コートを着ても良かったくらいです。私は着ていませんでした笑今週末はもっと寒くなるみたいです。

 

今回読んだのは群ようこの『パンとスープとネコ日和』です。


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https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784758437622

 

〈あらすじ〉

 唯一の身内であった母を亡くしたアキコは勤めていた出版社を辞め、母の経営していた食堂を自分なりに改装した。開店したばかりの店の隅でうずくまっていた猫を飼い、たろと名付けた。店のスタッフは体育会系の気配り上手なしまちゃん。食材にこだわり、メニューは日替わりのサンドイッチ。そんなアキコの日常を描いた物語。

 

 

〈感想〉(※ネタバレ含む)

 アキコは真面目でしっかりしていますが実はすごく逞しくて強い女性なのではないかと思いました。私がもし同じ立場だったら母を亡くした悲しさでふさぎ込んでいると思います。アキコはあまり彼女の母のことをよく思っていない印象がありました。それでも女手一つで育ててくれた母がいなくなってしまったのは辛かったと思います。私はアキコのことをすごく尊敬しました。

でも、やっぱり大きな存在としてはたろだと思います。自分の子供のように可愛がっていたペットでしかも死にかけていた所を助けて育てたのですから、愛おしくてたまらなかったでしょう。

 

 母が亡くなってお店を自分で経営することを決めたのは料理教室を経営している先生のおかげでした。母より憧れていた人で「何かあったら力になる」と言っていました。彼女もまたアキコの中で大きな存在だったんだと思います。

 

 お店を開店し、スタッフとして雇ったしまちゃんは本当にいい人だと思います。文句一つ言わず、1人で作業をし、遅刻も休みもありませんでした。(捻挫の時は別ですが)お客さんを見ていちいち怒ったりするところも彼女の素直さがよく出ていて良いキャラクターだと思いました。自分の飼っていた犬のクマ太郎(彼女が名付けたのかは不明)、あだ名がメカ地蔵など面白い魅力も持っていて私もしまちゃんが大好きになりました。

 

 愛人の子、というのはあまり馴染みがなく小説の中でくらいしか見たことがありません。もちろん、自分から愛人の子だと言う人はいないでしょう。でも、私が言われたらやっぱり複雑だろうし、周りからもよく思われないと思います。アキコの場合、そのことが周りにどのくらい知られているかは分かりませんでしたが。

 

 たろが死んでしまった時、思わず私も号泣してしまいました。たろがアキコにとって本当に大きな存在であり、小説の中でもとても可愛い憎めない姿で出てきていたので本当に死んでしまったのが信じられませんでした。私はペットを亡くしたことがありませんが、身内が亡くなってしまったことはあるので共感していたんだと思います。

 

 

 小説を読んでこんなに泣いてしまったのは久々でした。というか人生で2回目くらいだと思います。

是非読んでみて下さい。