『モルフェウスの領域』 海堂 尊 無償の愛
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〈あらすじ〉
「コールドスリープ(冷凍睡眠)」状態の少年を医学探求センターで見守る日比野涼子。少年は両目を失明しかけていて、その特効薬の認可を待つために5年間の冷凍睡眠をすることになったのだった。涼子は彼が目覚める際、懸念される問題に気づき、その少年を守ろうとする。
〈感想〉(※ネタバレ含む)
海堂尊の小説は読むのが初めてだったのですが、医療の事柄が入っていてもあまり読みづらいと思いませんでした。ドラマ化されているチームバチスタの栄光をドラマだけ見たことがあるのですが面白かったです。
冷凍睡眠という、あと数年後に実現しそうなテーマを扱った作品でややこしいのかと思っていましたが、登場人物のキャラが際立っていてそこがこの作品を楽しんで読むことができた理由でもあります。
また、この作品は冷凍睡眠が倫理的であるのかを問うているものでもあります。冷凍睡眠をしているのは9歳の少年ですから、余計に重要視されます。
涼子が仕事としての義務としてアツシをそこまで擁護しようとするのか不思議でしたが、無償の愛といったところでしょうか。自分が長い間サポーターをしてきたこともあり、母性のようなものが芽生えるのは無理もないと思いますが。
西野との接触は物語にとっても必要だと思いますが、恋愛面を詳細に書く必要はなかったかと思います。恋仲にしておけば物語が進みやすいのは一目瞭然ですが、要素が多かったように感じます。
チームバチスタは上記でも言ったようにドラマしか見た事がないのですが、この小説を読んで原作も読もうと思いました。
是非読んでみて下さい。